出勤の途中で

恵比寿駅から会社まで私は相変わらずわざわざ遠回りな道を選び、ただただ気持ちのよい道のりを楽しみながら 毎朝通っている。その途中の事、会社から100m手前の距離にあるラーメン屋があるのだが、そこの店というのは、 店内は通常のカウンターがあり、外には猫の額ほどのオープンテラスにテーブル2つおいてある。天気のよい日など はたまにお客様がそのテーブルで談笑しながら美味しそうにラーメンを食べている光景をみかける。
あるときはそこの 店主らしき方がそのテーブルに座り、お昼休憩なのか、暇なのかそこに座って携帯片手に何かやっている姿をみかけ る事もたまにある。私はそれをあまり快く思わず、なんて店主だ!お店の前で、お客様の座る席でそんなことしてい いのだろうか?とそこの前を通るたびにそんなことを感じていたのだ。 で、朝の話にもといであるが、いつもどおりに会社に行く途中にそのラーメン屋の前を通りかかった時、そこの店主が そのオープンテラスの床を雑巾で丁寧にキュッキュッ、それは昼間の怠けて携帯もっていた顔つきとは違い、まるでお店 にでも話しかけているかの様に、『今日も一日よろしく頼むよ!』といわんばかりの感じでひざをついて一生懸命に雑巾がけ をしていた。 実は私も何度かこのラーメン屋で食べたことがあり、そのスタッフの対応だったり店内と調房の清掃の行き届いている ところに関心した事がある。
昼間みかけた関心しない一面は確かにあるが、朝一番でみんなできちんと掃除をし、 上下関係わけ隔てることなく、お店を、そしてスタッフを大切にしている事をその店主の雑巾がけしている背中を通して 感じた。
TEXT/Y.HAMAMACHI